Dear Hero
「なぁ、紺野」
「うん?」
「さっきの……イルカショー始まる前の話だけど……」
「……っ!」
もんじゃを広げて焦げ目がつくまでの間、さり気なく話題を戻してみる。
いくつめかの軟骨を口に含んだ紺野の動きが、ピタッと止まる。
「何か、言いかけてただろ?」
「う、うん……」
「続き、なに?」
「えーっと…うん、その……」
箸を置いて、もじもじしだす。
俺の記憶が正しければ、なんだかいい雰囲気だったはずだ。
もしかしたら、告白の返事かもなんてちょっと期待してしまう。
「あ……あのね、そう、今日ずっと一緒にいて改めて思ったっていうか」
「うん」
「やっぱりテツくんは、ちゃんと男の子なんだなぁって思って」
「うん」
「それでね、私、ずっと考えていたんだけど」
「うん」
「テツくんの事……」
「オッス大将!ってあれ、哲平じゃねぇか?」
「……っ!?」
店の入り口がガラガラッと開いて、客が入ってくる。
「おおお?哲平が一丁前にべっぴんさん連れてんじゃねぇの」
「ちょ…っ坂田のおっちゃん!今いいとこなんだから!ジャマすんなよ!」
「おお、悪ぃ悪ぃ。若ぇモンの邪魔しちゃいけねぇな」
坂田のおっちゃんは大声で笑いながら、カウンターに座って大将と談笑を始める。
「……ごめん。俺の事、なんだっけ」
「あ、うん。ええと…なんだっけ、そう、テツくんの事」
「うん、俺の事、何?」
「あのね、だからテツくんの事……」
「大将こんばんはぁ!アラ、哲ちゃんじゃない!最近、倫ちゃんも純ちゃんも見なかったから淋しかったのよぉ。まぁまぁ今日は女の子連れちゃって!」
「………っ」
今度は三軒隣のタバコ屋のおばちゃんが入ってきた。
怒鳴る気力もなくなって思いっきり睨みつけてるのに、おばちゃんには届かない。
「え、ええと…うん、テツくんの事……」
「ごめん、ここで話しようと思った俺がバカだった。もんじゃ、いい感じだから食べよ」
ヘラを手渡すと、ほっとしたように紺野はもんじゃに手を伸ばす。
「テツくん、皆さんに可愛がられてるんだね」
「プライバシーも何にもないけどな」
「こんな環境、なかなかないよ。ちょっと羨ましい」
ヘラにくっつけたもんじゃをふうふうと冷ましながら口入れると、「美味しい!」と絶賛してくれた。
俺のお店じゃないけれど、褒められてなんだか誇らしかった。
「うん?」
「さっきの……イルカショー始まる前の話だけど……」
「……っ!」
もんじゃを広げて焦げ目がつくまでの間、さり気なく話題を戻してみる。
いくつめかの軟骨を口に含んだ紺野の動きが、ピタッと止まる。
「何か、言いかけてただろ?」
「う、うん……」
「続き、なに?」
「えーっと…うん、その……」
箸を置いて、もじもじしだす。
俺の記憶が正しければ、なんだかいい雰囲気だったはずだ。
もしかしたら、告白の返事かもなんてちょっと期待してしまう。
「あ……あのね、そう、今日ずっと一緒にいて改めて思ったっていうか」
「うん」
「やっぱりテツくんは、ちゃんと男の子なんだなぁって思って」
「うん」
「それでね、私、ずっと考えていたんだけど」
「うん」
「テツくんの事……」
「オッス大将!ってあれ、哲平じゃねぇか?」
「……っ!?」
店の入り口がガラガラッと開いて、客が入ってくる。
「おおお?哲平が一丁前にべっぴんさん連れてんじゃねぇの」
「ちょ…っ坂田のおっちゃん!今いいとこなんだから!ジャマすんなよ!」
「おお、悪ぃ悪ぃ。若ぇモンの邪魔しちゃいけねぇな」
坂田のおっちゃんは大声で笑いながら、カウンターに座って大将と談笑を始める。
「……ごめん。俺の事、なんだっけ」
「あ、うん。ええと…なんだっけ、そう、テツくんの事」
「うん、俺の事、何?」
「あのね、だからテツくんの事……」
「大将こんばんはぁ!アラ、哲ちゃんじゃない!最近、倫ちゃんも純ちゃんも見なかったから淋しかったのよぉ。まぁまぁ今日は女の子連れちゃって!」
「………っ」
今度は三軒隣のタバコ屋のおばちゃんが入ってきた。
怒鳴る気力もなくなって思いっきり睨みつけてるのに、おばちゃんには届かない。
「え、ええと…うん、テツくんの事……」
「ごめん、ここで話しようと思った俺がバカだった。もんじゃ、いい感じだから食べよ」
ヘラを手渡すと、ほっとしたように紺野はもんじゃに手を伸ばす。
「テツくん、皆さんに可愛がられてるんだね」
「プライバシーも何にもないけどな」
「こんな環境、なかなかないよ。ちょっと羨ましい」
ヘラにくっつけたもんじゃをふうふうと冷ましながら口入れると、「美味しい!」と絶賛してくれた。
俺のお店じゃないけれど、褒められてなんだか誇らしかった。