Dear Hero
あぁ、ついに。
三年待ち望んだ夢が叶う。

長かったなぁ。
気持ちを伝えてから、まだ一ヶ月経ってないんだよなぁ。
こんなにすぐに進展するなら、もっと早く気持ち伝えればよかったのかなぁ。

いや、違うか。
紺野の中で大護への気持ちに決着がついたから、やっと始まったんだっけ。
もう、紺野の気持ちは落ち着いたのかな。
気持ちの整理はついたのかな。


……俺の事は、どう想っているのかな。



「……っ!」

はっと気づいて、紺野との距離を取った。
不安げに、こちらを見つめる紺野。


俺、大事な事を見落とすところだった。


「テツくん…」
「……残念ながら、時間切れだ」
「………」
「あと、そんなすぐに目閉じんな、バカ。何されるかわかんねぇぞ」
「………」

我ながら、すげぇ矛盾した事を言ってる気がする。
でも、何かを言い訳にしないとやりきれなかった。


時計の長針は、11の文字盤を通過しかけている。
時間を決めておいて、よかった。


「もし今、紺野も少しでも“残念だ”って思っていたのなら、次は紺野の気持ちを教えて」
「………」
「俺は、紺野が好きだ。紺野の彼氏になりたい。気持ちが伝わっていないって言うんなら、もっともっと伝える」
「………」
「充分、伝わっているって言うのなら、次は紺野の気持ちが聞きたい」
「………」
「俺、次会う時にはもう止められないと思う」
「………」
「紺野の気持ちが固まったら、会いに来て」
「………」
「今日は、ありがとな。すっげぇ楽しい一日だった」



「家の前まで送るよ」と取った手を、紺野は握り返さなかった。




< 299 / 323 >

この作品をシェア

pagetop