Dear Hero
手を伸ばして俺の左手を取ると、大事そうに両手で包み込んだ。
触れた所からじんわりと温かくなって、心までぽかぽかしてくる。


「今までもね、触れられて嬉しいって思う事はあったの。ダイくんと手が触れ合った時はドキドキしたし、テツくんに手を握られた時だってすごい胸がキュンキュンした」
「なるほど、キュンか」
「でもね、“触れたい”って思ったのはテツくんが初めてだった」
「………」
「デートの時に手を繋いだの、すごくドキドキして心臓壊れちゃうかと思った。でも、離したくなかった」
「………」
「テツくんに触れてると、ドキドキするんだけど落ち着くんだ。不思議だね」


宝物のように、大事そうに俺の手を撫でる。
その不思議、わかる。
俺もそうだから。


「私、本当はすごくコンプレックスの塊なんだ」
「………」
「みんなみたいに女の子らしくできないし、おしゃれも苦手だし、身体だっていかついし、すぐに手が出ちゃうし。自分の嫌いなところ、いっぱいある」
「………」
「でも、テツくんは私の嫌いなところも好きって言ってくれた。すごく嬉しかった」
「………」
「テツくんがいてくれたら、私はもっと自分の事も好きなれるかもしれない」


紺野は触れていた手をぎゅっと握ると、力強い眼で俺を見つめる。
目が離せなくなる。


「きっと、テツくんが私の事を想ってくれてる気持ちの大きさには、まだ全然足りないと思う」
「………」
「それでも、私のこの気持ちはこれからももっと大きくなる」
「………」
「……テツくんが好き。好きになってたの……」
「………っ」
「だから………わっ」


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