Dear Hero
体勢を立て直して小さく呼びかけるも、反応はない。
依がこんな拗ね方するのも初めてで、困り果てて頭を掻く。
枕元に顔を近づけ、依にしか聞こえないくらいの声で伝える。


「あいつら帰ったら……続きしよ」
「………」


返事はないとため息をつきかけた時、耳に聞こえるはすうすうという寝息。
そっと布団をめくると、あほみたいな顔でぷーすか寝ている依。


「………寝てる…」
「…ぶはっ」


どっと疲れて項垂れる。
元気だったところも項垂れた。
哲ちゃんの噴き出す声が聞こえて振り向くと、三人が声にならない笑いで腹を抱えて転げ回っていた。


「〜〜〜っ」


テーブルに戻ってグラスに残ったぬるいビールを飲み干すも、三人の爆笑は収まらない。


「……だから、笑うならせめて声出して笑えっつーの……」


しばらく放置されて底が焦げ付き始めた鍋に、残りの食材をぶち込んで蓋をしたところで、落ち着き始める三人。
みんなの視線が痛くて顔を上げられない俺。


「お前ら……」
「………」
「金輪際、あいつに酒飲ますなください」
「「「……御意」」」


息の合ったお返事を合図に、再び転げ回る三人。



「だあああ!くそ!お前らもう帰れ!帰っちまえ!!」




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