Dear Hero
「……っ」

首筋を這う唇に体が震える。
いつも俺が首筋ばかり攻めるから、仕返しされてるのかもしれない。


「依、まずいって…。みんないるから、今はダメだよ……」

「だめ……なの…?」


荒くなる息の合間にかけた声に、依が答える。


上気した頬。
とろんとした瞳。
何度も重ねたキスでしっとりと潤う唇。



「………っ」


ダメ……じゃない…。
むしろこのまま美味しくいただきたい。
喉がごくりとなる。



後ろでぐつぐつと響く鍋の音が、この状況を思い出させる。



「………今は…ダメ…」
「………」


目をぎゅっと閉じて絞り出した答えに、依は少しの間哀しそうに俺を見つめた後、横を向いて頭まで布団をかぶってしまった。


「……依、ごめんって」
「………」
「怒るなよ……」

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