秋の月は日々戯れに
吐く息は白く、園内には所々薄らと雪が積もっていて、むき出しの顔が痛いほどに冷たい。
男同士並んでベンチに腰掛け、寒空の下で缶コーヒー飲む。
何とも言えない構図だな――と思いながら、彼はなんとなしに園内をぐるりと見渡した。
妙にファンシーなぞうの滑り台や、塗装が禿げかかったジャングルジム、作りかけの山が残された砂場なんかを順番に、見るともなしに眺めて、最後に視線はブランコへと行き着く。
彼女と出会った時はまだフラフラと風に揺れていたブランコが、今ではすっかり支柱の上に座板が上げられ、紐でくくりつけられてしまっている。
その光景は、なんだか少し寂しかった。
「ねえ、先輩……」と、後輩が呟く。
「もしも待っていた結果が、オレにとって悲しいものだったとしたら、その時は」
遊具から隣に視線を移すと、目が合った後輩は、クシャっと顔を歪めるようにして笑った。
「その時はオレ、きっと激しく泣くと思うんで、めいっぱい甘やかして、慰めてください」
想像しただけで泣きそうになったのか、後輩は泣くのを我慢するように、顔に力を込めて笑っている。