秋の月は日々戯れに

そんな風に笑顔で宣言できるようになるまで、一体どれくらい泣いたのだろう――。

別れたわけではないけれど、距離は離れ、未来は見えない。

それでも同僚は“嫌いになったのではない”と言って、だから後輩は“待つ”のだと言った。

ただ待っているのは辛いと、泣きそうな顔で零しながら、それでも待つと、そう言った。


「お前なら、大丈夫だよ」


彼の言葉に、後輩の顔がクシャっと歪む。

でもこんなところで泣きたくはないだろうし、彼としても泣かれたら困るから、後輩の頭に腕を回して引き寄せて、乱暴に思えるぐらいの手つきでぐりぐりと撫で回した。


「仕方がないから、もしもの時は慰めに行ってやる。有給とって、観光の”ついで”にな」


“ついで”を強調して言ってやると、されるがままだった後輩が、目の色を変えてバタバタともがきだす。


「ついでって、酷いっすよ先輩!せめて観光をついでにしてください」

「いや、観光がメインだな。この間テレビでやってた煮魚定食の旨い店ってのが気になってる」

「オレは煮魚のついでなんっすか!?」
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