天神学園のお忍びな面々
牡丹の右手を押さえたまま、微動だにしない白雪。

然程力を込められているとも思えない白雪の手が、牡丹は振り解けない。

雪女特有の冷気すら放っていない。

結界師として名を馳せた防人の力でもない。

ただ、意志の力。

白雪の争いを好まぬ力のみが、牡丹ほどの剣客の手を止める。

「フン」

白雪の手を振り払い、踵を返す牡丹。

「牡丹、貴方という事はっ!」

「坊、大人げないよ」

エレナが牡丹を叱り飛ばし、椿が窘める。

「ごめんなさいですわ白雪っ、また後程っ」

最後に一言告げて去っていくエレナ達の背中に。

「…………み」

白雪はやっと一言発した。

「………………………………皆仲良く」

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