天神学園のお忍びな面々
「どうしたのさ、何でそんなに噛みつくの?坊」

椿が四季を肩に担いで言う。

「夕城次期宗主選定の儀に、何か気に入らない事でも?」

「選定の儀に不満はない。寧ろ、この状況がだ」

牡丹は、ともすれば鬱憤さえ溜め込んでいるような眼光で、3人を見る。

「これから、下手をすれば血を流し合って夕城次期宗主の座を争う事になるというのに、仲良しこよしで修練だと?そんな事で、真に強い夕城宗主になれるものか」

「私の監督の下での稽古は、気に入らないとっ?」

「そう言っている」

早々に、牡丹は背を向けた。

「貴様らに強制はせん。だが俺にも強制はしないでもらおう」

去っていく牡丹の姿に。

「やれやれ…坊ちゃんは気難しいこって」

蘭丸は溜息をついた。

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