天神学園のお忍びな面々
腹を押さえて悶絶するリューク。

老師は彼を引き摺り起こし。

「足技はこんなものではないぞ」

連続蹴りの無影脚!

滅多打ちにされ、リュークの体が躍っているようにさえ見える。

フィニッシュの横蹴りで、リュークは宙で一回転した後に畳の上に倒れた。

…厳しめに行くとは、これほどのものなのか。

呼吸を乱し、リュークと龍鬼の胸が上下する。

だが。

「馬鹿を言え。まだこれからが第2段階だ」

老師は腹式呼吸で息を吐く。

背腹同等の腹圧にすると内臓が落ちて腹横筋が締まり体幹部が安定し強くなり、軸力が強くなる。

腰の辺りから肩甲骨まで体が繋がった感覚が得られる。

仙骨を締めて、尻に力を入れて肩甲骨を開いて肘を外旋、胸骨を上げて、息を吐けば大腿部から腰、腰から肩甲骨、肩甲骨から腕まで軸で繋がる感じが得られる。

空手で言う『息吹』という呼吸法。

途端に老師の身から漂う気質が、より重く、より研ぎ澄まされたものに変わる。

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