One Night Lover
「華乃…頑張ってるんだな。
少し感じが変わったな。」

藤ヶ瀬は華乃を見て、昔の自信のない華乃の姿を重ねた。

あれはあれで守ってやりたいと思ったが
今の華乃は眩しいくらいにキラキラしていた。

「仕事は楽しいか?」

「はい。」

「転職することを止めたけど…間違いだったんだな。
華乃は今の会社の方が向いてるみたいだ。」

昔のOLの着るコンサバな服ではなく、
ヒラヒラなフリルのたくさん付いたブラウスに
ダメージデニムを履いた目の前の華乃のがずっと魅力的だった。

「迎えに来た。

俺は親父の会社を継ぐのを条件に好きな相手と結婚出来る。

お前の言う両家のお嬢様と見合いの話は無くなったんだ。」

しかし華乃は嬉しそうな顔をするどころか
返事に困っていた。

藤ヶ瀬はさっき梨沙から言った

「華乃、今、男居ますよ。」

と言う言葉を思い返した。

「好きな男がいるのか?」

「私…部長を待ってられなかった。

寂しくて怖かったんです。

このまま待ってても来ないかもって思ったら
怖くなって…

そんな時、今の彼と知り合って…
最初は軽い気持ちだった。

ただ…寂しさを埋める感じで逢ってただけだったのに…
そのうち彼が大切になって…」

「諦めないよ。

お前は絶対俺のところに帰ってくる。」

藤ヶ瀬はその先は聴きたくないとでも言うように華乃の話を遮った。

本当のところ、竜には今の華乃が自分のところに戻ってくる自信はなかったが
努力もせずに手放したくなかった。



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