One Night Lover
止められない気持ち
竜は華乃を自分の部屋に連れて帰ると
あの日のように強引に華乃をベッドに押し倒した。

華乃はもうあの時は違って
他の男にだいぶ変えられたような気がした。

婚約までした男が居たのだから当たり前だったが
初めての相手としては他の男に穢されたようで
気分のいいものではなかった。

女は男によってどんどん変えられていく。

華乃はあれから何人の男に変えられたのだろうか?

自分の腕の中にいる華乃が菜那とかぶって見えた。

菜那はあの時、自分と付き合いながら聖司にも抱かれていたのだろうか?

そう思うと堪らなく辛くなって
竜はそれを華乃にぶつけた。

「お前…何人と寝た?」

「…え?」

そして突然、華乃を抱くのをやめた。

華乃は何にも言わなかったが、かなりショックを受けたようだった。

何も言わずに脱がされかけた服を着て
髪を整えると

「帰ります。」

と言って部屋を出て行こうとする。

後ろ姿で泣いてるのがわかった。

竜は八つ当たりをして華乃をまた傷つけたことを後悔して胸が痛む。

華乃は菜那ではないのだ。

「待て。

悪かった。」

腕を掴むと、華乃は泣きながらその腕を振り解こうともがく。

竜は暴れる華乃を抱きしめた。

「悪かった。」

華乃は竜の胸に顔を押し付けて泣いた。
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