One Night Lover
華乃が泣き止むまでずっと華乃を抱きしめていた。

「部長はどうして私に辛く当たるんですか?

知らない男と寝るような女だったから?」

「そうじゃない。

ただ俺は…簡単に男を裏切る女が嫌いだ。

お前は杉崎と婚約しながら俺とこういう風に逢ってるだろ?」

「だから信用出来ないんですね。」

竜だって華乃がそれなりの覚悟をして会ってる事は分かっていた。

華乃がちゃんと自分のことを好きだと言うこともわかる。

それでも華乃を簡単には受け入れられなかった。

本気になって傷つけられるのは菜那だけで沢山だ。

あんな想いは2度としたくなかった。

だからこそ慎重になって、華乃を疑って傷つけた。

「さっきは俺が悪かった。」

華乃は藤ヶ瀬が怖かった。

藤ヶ瀬は出会った時から触れてはいけない感じがした。

まるでナイフのように尖っていて、触れれば傷が付く。

それでも華乃はもう自分の気持ちを抑えることが出来なかった。

目の前にいるのは自分がずっと想い続けていた相手だ。

どんな風に扱われても…あの時、一瞬で恋に落ちてそこからずっと抜け出すことができないほどの相手だった。

こんな時に渉が居てくれたらと思う。

渉が抱きしめてくれたら大抵のことは我慢できた。

たとえあの夜、渉に酷い暴力を受けても
今の華乃には渉が必要だった。
< 52 / 110 >

この作品をシェア

pagetop