男女七人夢物語
「劇」
「あー、そういえばステージでしたねー」
「ああ。どうかしたか?」
「いえ、今ふと思っただけです。邪魔してすみません」
「いや。問題ない」
今カタカタと打っていたのは、ただの私用だった。散々文句を言った後になんだが、思ったより早く今やる分が終わったので、勝手に遊んでいたのだ。
「ちょっと、トイレ」
興がそれたので息抜きに立ち上がる。学校祭が近いとはいえ、まだ終日準備ではない。まだ部活に普通に打ち込む生徒をよく見かける。
「図書室でも覗くか」
そう思ったのは気まぐれだった。
そういえば、先生を探しに行って木下と会って以来図書室には行ってない。
確か、図書室は古本市をやる予定だったと思ったが、どうだったか。
図書室の戸を開くと、木下ががさごそとカバンに荷物を詰めていた。
「帰るのか?」
びくりと木下の肩がはねた。
「なっ、いつからそこに」
「いや、たった今」
「そうなんだ…」
ホッとしたように息を吐く木下に何とも言えない気持ちになる。
「………悪かったな」
気がつけばそう口が動いていた。