お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「そっ、それは……!」
「最高に充実した時間だったはずだ」
「――じゅう、じつ……」
彼の言葉にあれやこれやを思い出して、頬に熱が集まった。
実際、この数日、龍一郎が澄花を求めるのに、昼も夜も朝も関係なかった。龍一郎は澄花を中から作り変えようといわんばかりに、熱愛した。
今だって彼にひとたび触れられたら、またとろけるような甘美な時間に落ちてしまう気がして、怖いくらいだ。
だがそんな時間をいま迎えてしまったら、仕事どころの話ではない。
(そうだ、話を変えよう!)
澄花はとりあえず必死に次の話題を探し、口を開く。
「――えっと、お住まいの改装が終わるのが、あと数日後ですよね?」
「ああ。ようやく工事が終わりそうだ」
龍一郎は長いまつ毛を伏せ、苦労を思いだしたのか、ため息をついた。