お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「本当に……かわいいな」
龍一郎はふっと笑って、そのままもう一方の手で澄花の腰を引き寄せた。そしてぴったりと体を寄せると、澄花の肩に額をのせてささやく。
「それにしたってきみは『白無垢を着たい』とか『小さな庭があれば』とか、些細なことしか望まないだろう。欲がなくて不安になる」
白無垢も庭も、澄花にとっては些細なことではないのだが、龍一郎は唇をそっと首筋に押し付ける。
「もしかしたら天使なんじゃないのか。じゃないとおかしいだろう。私はこんなにも欲深いというのに」
首に触れる龍一郎のささやき声が、次第に低くなっていく。さらに触れる吐息がくすぐったくて、身もだえしてしまう。
「あ、ちょっとっ……」
「ん……? 澄花、感じてるのか」
「ちっ、違いますっ……」
慌てて否定したが、おそらく龍一郎は一ミリも信じていないだろう。
それにしても姫君と言ったり、天使と言ったり、龍一郎の目はおかしいのではないだろうか。
澄花はどう反応していいかわからないながらも、不安定な階段の上ということもあって、龍一郎の肩に手を乗せてバランスを保つしかない。
「澄花……」