お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 そして「かわいいからいけないんだ」と、甘いささやきを繰り返す。

 いったいなにがスイッチになっているのだろう。
 澄花はキスの雨を受けながら、どうしていいかわからず固まってしまう。

 これが恋人同士ならうまく受け止めたりできるのだろうが、経験値の差もあるのか、基本的にされるがままだ。
 そして普段は冷たい雰囲気すらあるのに、一度タガが外れると、それまでのとっつきにくい雰囲気が信じられないくらい甘々になる龍一郎に、どう対応していいかわからない。

 まさか階段の途中でこんなことになると思わなかった澄花は、キスの途中で、アワアワしたまま龍一郎を見上げた。


「あ、あのですね、ここ、階段ですけど」
「なにか問題があるのか」


 それから何度か口づけした後、龍一郎が熱にうるんだ瞳で澄花を見つめる。


「問題って……だって、あぶないですし……」


 転げ落ちたりしたら大変だと、澄花は思ったのだが。


「なるほど……では場所を変えてじっくり……ということだな」


 低く、柔らかい声でささいやいた。


(じっくり?)


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