お気の毒さま、今日から君は俺の妻
パーティは六時ちょうどに始まったらしい。澄花と珠美が受付を済ませホテルの会場である天空の間に入った七時には挨拶は全て終わり、スーツ姿で名刺交換をしていているビジネスマンや、ドレスアップした女性が歓談する姿で溢れかえっていた。
(これってKATSURAGIのイベントだったのね)
会場の入り口に、生花と緑で縁どられた大きなパネルが飾られとデコラティブな書体の英字で『KATSURAGI』と書いてあったのを澄花は見逃さなかった。
KATSURAGIといえば関東を中心に、ありとあらゆる駅や商業施設にテナントが入っているフラワーショップの大手で、タカミネコミュニケーションの社内植物の世話も、たしかKATSURAGIの提携店だったはずだ。
そして今回のパーティーは、新規事業の立ち上げのマスコミプレリリースを兼ねていたらしかった。
「ずいぶん華やかね」
澄花は思わず笑顔になって、フロアを見回していた。
「ですねー! 結婚式みたい!」
はしゃいだように珠美もうなずく。
彼女の言うように、普段は結婚式の披露宴やパーティが行われている天空の間は、いつも以上に花と緑で飾られている。屋内庭園のようだった。さすがフラワーショップ最大手というべきか、会場の壁回りや、テーブルの上には見たこともない量の花や植物でうめつくされ、さながら植物園といった雰囲気だ。