お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「先輩っ、あれですっ!」


 スマホを片手に持った珠美が、弾んだ様子で会場の前のほうにあるケーキののったテーブルへと向かう。


「タマちゃん、待って……」


 澄花も苦笑しながら珠美の背中を追いかけた。

 真琴が手伝ったというケーキは、色とりどりの薔薇のつぼみや花をかたどった大きな円錐型のケーキだった。ケースに入っているが、ケーキ自体の大きさは高さ一メートルはありそうだ。白い生クリームのケーキの上に、白、赤、黄色、薄いピンクや濃いピンク、ブルー、グリーンの花びらがデコレーションされている。大変な力作だった。


「わーっ、すっごい!」


 珠美がはしゃぎながらスマホで写真を撮る。


「本当……とてもきれい……お花のケーキなんて素敵ね」


 うっとりと眺めていると、澄花がバッグからスマホを取り出して写真をパシャパシャと撮り始める。


「先輩っ、こっちの小さいほうは食べられるみたいですよ~!」


 珠美が指さした先のテーブルには、紫陽花の花びらの形をした一色のケーキがシルバートレイの上にきれいに並べられていた。虹をイメージしているのか、全部で七色だ。テーブルの前に立つ給仕の側には、ケーキを取り分けてもらうために、ずらりと行列ができていた。

 見た目の華やかさと愛らしさで、ずいぶん人気があるらしい。女子がきゃあきゃあ言いながらトレイに集まっている。

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