お気の毒さま、今日から君は俺の妻
だが龍一郎はどこか苦しそうなのだ。自分と暮らしていた時のような穏やかでリラックスした気配はまるで感じない。だとしたらここは彼がいるべき場所ではないのだ。
「ね、龍一郎さん……」
澄花は困ったようにうつむく龍一郎の手を取り、ぎゅっと握る。
「澄花」
だが龍一郎は相変らず申し訳なさそうで。
「こんなことをされては、私が勘違いしてしまう……」
「勘違い?」
「ああ……」
彼はうなずき、それから澄花の背中を引き寄せると、存在を確かめるように抱きしめる。
「一緒に帰ろうなんて言われたら、私はまだ、君を好きでいてもいいのかもしれないと……勘違いしそうになる」
彼の言葉に、嫌われていなかったとホッとすると同時に、なぜか胸が締め付けられ泣きたくなった。
「龍一郎さん……」
たった半日離れていただけだというのに、百年会ってなかったような気持ちになるのはなぜなのか。
(結婚してから、龍一郎さんが仕事で数日家を空けることだってあったのに……)
澄花はそんなことを思いながら、龍一郎の広い背中に腕を回した。