お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「だがそれは、できない。今はできないんだ」
「……」
「すまない……」


 それから無言で澄花を抱き締め続ける龍一郎に、澄花はなんと言っていいかわからなくなる。
 結局彼がゆっくりと腕の力を抜くまで、澄花はじっとその場に立ち尽くしていた。



「――腕はどうなんだ」


 抱擁はほんの数分のでき事だったはずだ。それからふと、澄花の手を両手で包み込み、龍一郎はかすれた声でささやいた。


「テーピングしてるから、普通にしてる分には痛くないです」
「本当に?」
「はい。本当に」


 不安そうに問いかける龍一郎は、どこか子供のように見えた。


「そうか……」


 そして龍一郎は、そのまま上半身を折るようにして曲げ、澄花の左手をうやうやしく取り、額を押し付ける。


「本当にすまなかった……君を傷つけないと約束しておきながら……こんなことになってしまった」


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