お気の毒さま、今日から君は俺の妻
いや、むしろ彼は澄花を心のどこかで遠ざけようとしているのではないか。そして同時に、ここにいる自分の自分の身などどうでもいいというような、諦めも感じるのだ。
(いったいここになにがあるの……?)
澄花の胸に、もやのような黒いなにかが広がっていく。だがその不安を払しょくするように、澄花はぎゅっと唇をかみしめる。
(私、あきらめない……)
このまま帰ってしまっては、凍り付いて固まってしまっている龍一郎の心を動かすことはできないに違いない。
澄花は固く決意して、抱き着いたまま龍一郎を見上げた。
「龍一郎さん、あなたは謝罪の言葉を伝えてくれた。だけど……私の気持ちをどうして聞いてくれないんですか?」
「澄花の気持ち?」
どこか不思議そうに、龍一郎がつぶやく。
「そうです」
澄花はしっかりとうなずいた。