お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「確かに私、ずっとハルちゃんが好きでした。彼は命の恩人で、その後の私の人生の、道しるべみたいな人だった……だからあの人が死んだとき、世界が終わったと思った。ううん、実際ずっと終わっていたんです……。だからあなたに自分を売ったときも、ハルちゃんの思い出を大事にできるなら、十分だって思ってた……」
言葉はつたないけれど、先ほど龍一郎自身に止められてしまった、大事な言葉を、澄花はどこかすべてをあきらめたような、龍一郎に伝えなければと思う。
「でも、あなたに大事にしてもらって、私、自分のこと、どうでもいいなんて思っちゃダメだって思うようになっていたんです」
澄花の大きな目に、うっすらと涙が浮かぶ。
(ハルちゃんのことは今でも大事……だけど)
澄花にとって、春樹はこれからも特別な場所にいる人だとは思う。だが今、目の前にいるこの男を失うわけにはいかないと、強く思う。
春樹を思っていたところとは違う場所で、澄花はこの、大人でありながら子供のようなこの男を、愛してしまっていたのだった。
「私、あなたが好きです……気が付いたら、夫になったあなたを、ひとりの男性として、愛してしまいました……だからあなたが私を大事にしてくれるように、私もあなたを大事にしたいんです……支えになりたいし、助けたいんです。私たち、夫婦でしょう?」