お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「じゃあ……どうして」
「祖父、母とあまり健康には恵まれなかったらしい。俺を生んだ後に体を壊して、眠るように亡くなった。すべてを覚えているわけではないが、どこかあどけない、子供のような人だった」
そう思いだして語る龍一郎の母の像は、不思議と龍一郎に重なる。
(留学してた……お母さん……そうか。そういえば痛いの痛いの飛んで行けって、英語で言われたっけ……)
「そして俺は小学校に入る前に、子供のいない葛城の両親の養子になり、葛城の姓を名乗ることになった」
「養子……」
「言っただろう。両親は本当にいい人たちなんだ。俺は本当になにひとつ不自由なく育ててもらったし、恩も感じている」
そして龍一郎は、どこか悲しげに言葉を続けた。
「祖母は、自分が生んだ息子も、祖父の愛人にも、その娘にも興味を示さなかった。そのことで父はかなり祖母に思うことがあるようだが……仕方のないことなのかもしれない」
自分の事でもあるはずなのに、龍一郎はどこか達観した様子だった。