お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「俺は……恋人を失った君を、葬儀の場所で見て、一目ぼれした人でなしなんだ」
「……」
「君を傷つけないと言うのは、嘘だった。言えば優しい君を傷つけることはわかっていたし、人でなしの俺が嫌われることはわかっていた。だがそれでも……たとえ人の道に外れても、君が欲しかった……澄花」
龍一郎は苦しそうに澄花を抱き寄せる。
「こんな俺でも、いいのか。愛してくれるのか……?」
どっか切羽詰まったようなその言葉に、澄花は胸を刺されたような衝撃を受けた。それから息をするのも忘れて、無我夢中で龍一郎の胸に体を押し付ける。
「りゅ、いちろう、さん……!」
愛してしまった。
誰がそのことを責められるだろう。
葛城琴乃も、その夫も、その娘も、そして龍一郎も。
今こうやって澄花が愛する人を抱き締められるのは、誰かが誰かを愛したその先の未来なのだ。
そして龍一郎と澄花の間に愛があって、なぜ龍一郎が苦しまねばならないのだ。
澄花の目に涙が浮かぶ。