お気の毒さま、今日から君は俺の妻
だがその場には龍一郎はいなかったのだ。
それを聞いて、彼女は本当に愛する人に迎えにしてもらったんだろうと、澄花は思ったのだった。
「――あなたにもいろいろ黙っていてごめんなさいね」
「いいえ。気にしないでください」
由香子はずっと、琴乃の存在を黙っていたことを気にしていたらしい。
だが夫である龍一郎が隠そうと思って隠していたのだ。由香子を責める気持ちなと一ミリもない。
「龍一郎さん、ずっと秘密にしておくつもりだったみたいなので……。でも、当然だと思います」
結局龍一郎は、あれからも数度、琴乃のもとに顔を見せに行っていた。
そして澄花はあの屋敷には二度と行かなかった。ただいつものように振舞って、帰ってくる龍一郎を迎えただけだ。
「おばあ様にとって龍一郎さんは龍一郎さんじゃなかったんですよね」
「ええ……そうね。私にとってお義母さんはとても厳しい人で、本当におっかない、鬼みたいな人だったんだけど、あんな人でも、夫の前では乙女みたいになるんだなって、思ったわ」
「鬼……」