お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 澄花はクスクスと笑って、そのまま龍一郎のこめかみに口づけを落とすと、上から覆いかぶさるように抱きしめる。

 きっとおそらく――龍一郎はこれからもやきもち焼きで独占欲が強くて、澄花を驚かせるのだろう。
 だが澄花だって完璧ではない。怒りっぽいし、突拍子もない行動に出るし、無意識に龍一郎を振り回すかもしれない。それでも澄花は、龍一郎とずっとともに生きていきたいと思っているし、彼を大事にしたいと思う。


「喧嘩したら、ちゃんと謝って仲直りしたらいいんです。私も車から降りたりしてごめんなさい」
「そうだな……ありがとう」


 そして龍一郎は腕を伸ばし、澄花の頭の後ろに手をやると、引き寄せてそのまま澄花の唇に下からキスをする。


「今からもう、夜ということにしないか」
「というと?」
「ベッドの中で、謝罪したい。精いっぱい……心を込めて……君を愛そう」


 龍一郎のネイビーブルーの瞳が、色っぽく輝く。


「もうっ……」


 笑ってうなずこうとした瞬間、澄花の唇はまた龍一郎にふさがれてしまった。
 夫婦の甘い夜の時間が訪れようとしていた。




番外編・小さなやきもち




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