お気の毒さま、今日から君は俺の妻
(不二さんが私を好きになることを不安がっているわけじゃない……問題はそこじゃない……ずっと自分のことなどどうでもいいと生きてきた人だから……こんなに大人なのに、時々子供みたいに不安になるんだ)
澄花は龍一郎の髪に指を入れ、優しく梳いていく。
毛を逆立てて怒っている猫をなだめるように優しく。
(まぁ、猫ちゃんのわりには大きすぎるけど……虎だってライオンだってネコ科だもんね)
そうやってしばらく撫でていると、ようやく気持ちが落ち着いたのか、眉のあたりのこわばりが、ゆっくりとほどけるように取れていくのが分かる。
最近出張もあって、仕事がハードだった。疲れもあったのかもしれない。
「――もうあんなことしないでくださいね」
「努力する。今回は知っている男だったから、余計……すまなかった」
「不二さんにも謝ったほうがいいですよ」
「……いや、あいつはニヤニヤ笑っていたから、俺の気持ちなど百も承知だ。クソッ……やっぱりムカつくな」
龍一郎は澄花の膝を撫でながら、ぶつくさと文句を言いながら目を閉じる。
「――君に恋をしてから、俺はずっと無様だな」
ため息をつきつつそんなことを口にする龍一郎は、本気でそう思っているようだ。
「そんなこと言わないで」