お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 表向きは恋愛結婚ということになっているので本当は必要ないのだが、龍一郎が丸山夫妻のためにわざわざ用意したのだ。そしてそこには龍一郎のキズ一つない立派な経歴が記されていた。


「通っていた学校とか、その後の留学とか、KATSURAGIのパリ店で働いていらっしゃったこととか、そういうのはわかりました。あと、年齢とか……」


(ハルちゃんと同い年だった……)


 そう、龍一郎は澄花の十歳上、三十五歳だった。

 そして三十五歳の男性といえば、澄花が働いているタカミネコミュニケーションズの社長、副社長コンビもそのくらいだったはずだ。
 社会に出て十年以上、ゆるぎない自信がまぶしい。二十代の青さが抜け、三十代の男の色気が一番花開くときなのかもしれない。

 とにかく女性が放っておくはずがない、葛城龍一郎はなにからなにまで、極上の男だった。
 さぞかし女性経験も豊富なのだろう。となると自分などあっという間に飽きられてしまうに違いない。


「それで充分なのでは?」
「いいえ、それじゃあまり知りたいことはわかりません」


 澄花はふるふると首を横に振った。

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