この恋が実るなら


「あらあら、ちょうどよかった!
寧々、こちらが前にも一度紹介した、吉川蒼一郎さん。30歳。独身。彼女なし。とっても優しくて、気配りも仕事もできる素敵な人よ。

吉川さん、こちらがご存知、南谷寧々。28歳。長いこと、彼氏なし。私の大事な親友なんだから、大切にしなかったらただじゃおかないから。」


慌ただしくスタッフルームから出てきた陽子が、余計なことまで付け加えて紹介する。


「もう。余計なこと、言わなくてもいいのに。」


少し陽子を睨みつけるも、大事な親友と言われて、許してしまう。


「陽子さんのおかげで、こうして寧々さんに会えたんだし。感謝してますよ。」




「早速なんだけど、今夜、レストラン予約してあるんです。といっても、お昼に陽子さんから話を聞いて慌てて予約したんだけど…」


私は、吉川さんのバタバタぶりが思い浮かべて、ちょっと微笑んだ。

< 11 / 147 >

この作品をシェア

pagetop