この恋が実るなら


次の日、私は午前の仕事を早めに片付けて、「よしっ」と気合いを入れてオフィスを出た。


いつもの道を歩きながら、なんて話を切り出そうかとグルグル考えるが、お店が近いから考えがまとまる前に到着してしまった。


ちょっと緊張してドアを開けると、店内の陳列を整頓中の顔なじみの定員さんと、カウンターに陽子を見つける。
蒼一郎さんの姿はない。


「来たわね。」


陽子は私が来ることがわかってたみたいに、そう言った。


「吉川さん、随分と落ち込んでるわよ。奥にいるから、じっくり話していらっしゃい。邪魔しないから。」


そう言って、スタッフルームの扉を開けてくれた。


そっと部屋に入ると、壁際にはまだ店頭に並べる前の梱包されたままの商品が積み上げられてて、その奥には書類のファイルがたくさん並んだ棚がある。


蒼一郎さんは、その奥のデスクで作業をしてた。


「こん、にちは。」


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