この恋が実るなら
ちょっとぎこちなく声をかけると、驚いた表情の蒼一郎さんが飛び上がるように立ち上がって振り返った。
突然目の前に私が現れたので、言葉を失ってる様子の蒼一郎さんより先に、口を開く。
「ごめんなさいっ!」
深々と頭を下げた。
「え…どういうこと…?」
顔を上げると、見たこともないような不安な表情の蒼一郎さんが、動けなくなってる。
「えっ…と、せっかく素敵なディナーとプロポーズしてくれたのに、あんな風に出て行ってしまって…。」
蒼一郎さんが、あからさまにホッと息をついて座り込んだ。
「よかっ…たぁ〜…。完全に、プロポーズを断られたんだと思った…。」
「え、あ、そっか、ごめんなさいっ。そうじゃなくて…。」
言い終わらないうちに、座ったままの蒼一郎さんが私を抱きしめた。
「僕の方こそ、昨日は乱暴なことして、本当に悪かった。怖がらせたね。本当ごめん…。」
「ううん、大丈夫。蒼一郎さんにあんな一面があったっていうのは、ひとつ発見だったけど…。」
「いろいろあって、悪い方にばっか考えちゃって、そしたら余裕なくなっちゃって…。」