この恋が実るなら
彼氏は長期海外出張に出てるらしく、快く誘いを受けてくれた。
俺のためというより、寧々さんには彼女が可愛くてしょうがないらしい。
休憩後、彼女に寧々さんと夕飯に行く事を告げると、一瞬曇った表情をさっと切り替えて、空元気で喜んでくれた。
こんな健気な彼女を、一時的にでも騙しているのは気が引けるが、ちゃんと気持ちを伝えるためには、しっかりとした準備が必要だった。
ただ単に、寧々さんに失恋したから手近なところで手を打ったなんて思ってほしくなかったから。
その日の仕事帰り、かつて夢にまで見た寧々さんと2人で食事、というシチュエーションは、当時思っていたようなものとは全くかけ離れていて、でも、信頼できて面倒見のいい俺の憧れの女性が、俺達の恋を応援してくれているという、大船に乗ったような安堵感を感じる、最高の時間だった。