この恋が実るなら
食事の後、また蒼一郎さんのスムーズな運転で自宅アパートまで送り届けてもらった。
行きのドライブより、だいぶ打ち解けて、いろんな話をした。
好きな歌とか、好きな映画とか、これまで行った国の話とか。
アパートの前で車を降りて、荷物を降ろして、お礼を言うと、優しく引き寄せられた。
背中に回された腕が、大きくてあったかい。
「初めてのデートだから、ここまで。」
そっとおでこにキスして、あったかい笑顔で私を覗き込んだ。
「次は、お休みの日にどこかちょっと遠くに出掛けようか。行きたいところ、考えておいて。」
「はい、楽しみにしてます。蒼一郎さん。」
「ん。じゃあ、またね。」
最後にギュッと抱きしめる力を強めてから、体を離した。
また低音のエンジン音を響かせて、蒼一郎さんの車は去って行った。
下げられた窓から手を振ってくれる。
蒼一郎さんとなら、幸せな恋、できるのかな。