この恋が実るなら
準備って、何かご飯を作ってくれたんだろうか。蒼一郎さんだって今日もお仕事忙しかっただろうに、悪かったな。
仕事場から蒼一郎さんのマンションまでは3駅電車に乗って、20分くらいで到着できる。
いつものように最寄駅で降りて改札を出ると、蒼一郎さんがニコニコしながら待っていてくれた。
「おかえり。」
「お迎えまで来てくれたの?ありがとう。」
マンションまではすぐなので、手を繋いで歩き出す。
肩にかけていたバッグはすいっと蒼一郎さんの手に持っていかれた。
「今日、ご飯作るつもりだったのに、ごめんね。明日リベンジするね。」
「いいんだよ。そんなこと気にしないで。それより、大変だったね。今日みたいな事、よくあるの?」
「めったにないよ。最近入ったばかりの新人ちゃんが、ちょっとやらかしちゃったみたいで。
でも、チームみんなで力を合わせて、いつもとは違う空気感で仕事するの、嫌いじゃないけど。」