お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~



ありさは綺麗に巻かれた毛先を肩から後ろに払って楽しそうに目を細めた。


「私たちも映画見てこれから夕食を食べて帰ろうかなったんです。藤野さんは誰かとご一緒ですか?」

「いや、私は……」

「桜子」



一人だと言って早々に逃げようとしたところで、智哉が現れた。




なんていうタイミングで来るのよ!




叫びたかったが、来てしまったからにはもう遅い。


ありさも達彦も振り返って智哉の顔を見て固まっている。


その間に智哉は私の隣に並んで二人と向かい合った。




「こちらは?」

「えっと、同じ会社の人。広報部の谷さんと、彼女は同じデザイン課の石原さん」




それぞれを手で示して紹介する。



こうなったら、なるようにしかならない。



それなのに、智哉のことはどう紹介しようかと悩む間もなく、




「はじめまして。桜子の婚約者の葉山智哉です。いつも桜子がお世話になってます」




勝手に前に出て智哉が話し始めるから目が飛び出そうになった。



それは、ありさと達彦も同じだったらしく豆鉄砲を食らった鳩のような顔で口を開けている。



「え、藤野さん、婚約?」

「最近、決まったんです。まだ形になってませんけど、いずれ」

「ちょっ……」




勝手に何言ってるの?という言葉を出す前に、智哉の手が二人から見えない角度で私を押しとどめた。



笑顔のまますっと両目が開かれて、言葉が止まる。




俺に任せておけ。





そう言われたような気がした。




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