恋は盲目、愛は永遠
唯子の逃亡劇は、15分弱で終わった。

何があったのかは知らない。
だが唯子は一度逃げて戻ってきた。

この私の元に。

その事実で十分だった。
だが私の心臓は、鼓動が早くなっていた。
戻ってくると分かっていたものの、やはり心配したということは唯子に知ってほしかった。

私は伊集院鈴太郎。唯子の夫だ。
万が一唯子を失ったら・・・想像したくもなかったが、私は不器用だ。こと唯子に関しては。

唯子に私の思いを伝えたい。いや、ぶつけたい。
そんな衝動に駆られた私は、一刻も早く二人きりになりたくて、唯子を姫抱っこし、急いで車まで行った。

そして私の思の丈を込めたキスで唯子の唇をふさいだ。
最初唯子は引いていたが、徐々に応えてくれた。
私の思いが熱すぎて、唯子の眼鏡を曇らせてしまったので、最後は唯子の眼鏡を外して、美しい瞳を覗き込んだ。

その瞳はキラキラと藍色に輝き、同時に欲望でけぶっていた。
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