恋は盲目、愛は永遠
「・・・では、鈴太郎さん」
「なんだ」
「適当なところで降ろしてください」
「なぜだ」
「めがねは自分でどうにかしますので」
「唯子はその視力でどうにかできるのか?ひとりで」
「えっ!いや、えっとそれは・・・」

それより今、私のことを「唯子」と呼びませんでしたか?鈴太郎さんっ!

「福島。あまり唯子をいじめるな」
「社長はマジで時間押してるという自覚を持ってくださいよ!」
「では出発の時間を遅らせろ」
「もう1時間遅らせました。これ以上は無理です」
「いつもすまないな。では会議の準備をしてくれ」
「もうつながってますよ」
「いつも気が利くな、福島は」と鈴太郎さんは言うと、ニッコリ微笑んだ。

その笑顔にまたドキッとした私は、改めてまだこの人が超至近距離に顔を近づけているという現実を思い出した。
あの伊集院テクノロジー社長の、伊集院グループ本家本元の、伊集院家の御曹司の・・・伊集院鈴太郎さんが。
< 25 / 298 >

この作品をシェア

pagetop