恋は盲目、愛は永遠
結婚よ、こんばんは
あの伊集院鈴太郎さんが、私に結婚しようと言った・・・。

ウソみたいな夢みたいな。
とにかくこれが現実だなんて、私はとても信じられなかった。

私の顔が汗ばんだせいか、めがねが鼻から少しずり下がった。
上げても汗のせいですぐ下がる。
「もうっ」と苛立った声を上げた私は、めがねを外して鼻梁をこすって汗をぬぐい、また一度めがねをかけなおした。

その様子を穏やかな笑顔で見ている鈴太郎さんは、どうやら面白がっていたようだ。
その顔に余裕がある。大人の余裕が。
自分の幼さを痛感して恥ずかしくなった私は、鈴太郎さんに顔を見られたくなくて、そのままうつむいた。
でも「どうした、唯子」と鈴太郎さんは私に聞くと、私の顎を軽く持ち上げた。

う・・・視線を合わせざるを得ないんですけど・・・。
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