恋は盲目、愛は永遠
「でも驚いた。まさか唯ちゃんと伊集院さんがつき合ってたなんてねぇ。あのとき隠さずに私に言ってくれてもよかったじゃない」
「いやそんな。あのときは本当につき合ってたわけじゃなくて・・・」

これは本当のことだし、恐らく鈴太郎さんは水面下で私のことを調べ上げた上で、私に再度接触を試みて、半ば強引に結婚へこぎつけられたわけで。
なんて、この人たちには言えない。絶対に。

「ただの知り合いが急に親友気取りになることもある。気をつけろ」と忠告した鈴太郎さんの言葉が、私の脳裏によみがえる。

ああ、それでか。
鈴太郎さんが今までの知り合いと、もう連絡を取るなと言ったのは。
私のためと言ってたのは、こういう意味合いがあったのか・・・。

でもまだ分からない。
この再会が逆に私のチャンスかもしれない。

自分の中に残っていたかすかな希望を否定したくなかった私は、恥をかなぐり捨てて、向坂さんにお願いした。
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