一途な社長の溺愛シンデレラ

《なにか大きなものが産まれる直前みたいな、なにかとの戦いみたいな。変則的で、不明確で、ハラハラするような、落ち着かない感じがする。――from@haruka》

 耳を満たしていく不規則な音調には、たしかにここのところの自分の制作に通ずるものがあるような気がした。

 怒りみたいな、迷いみたいな、勇ましさと悲しさが共存するような、不思議な感覚だ。

《なにか、嫌なことでもあった?――from@haruka》

 ハルカの問いかけに、私はキーボードを打つ手を止める。

 思い返してみても、自分が誰かから嫌なことを言われたり、されたりした記憶はない。

 それなのに、ここのところ、気持ちがずっと落ち着かない。

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