一途な社長の溺愛シンデレラ

「そっか。それで痩せたんですね」

 社長の言葉に納得したようにうなずいて絵里奈は給湯室に消えていく。

 でも私には、その言葉が嘘だとすぐにわかった。だって社長はこの二週間、ジムになんて行っていない。

「社長」

 席に座ったまま呼びかけた私に、疲れの滲んだ端正な顔が振り向く。

「ん? なんだ沙良」

 やつれてしまうほど悩んでいる原因は、あの女の人ではないの?

「……いえ。なんでもないです」

「なんだよ、それ」

 訊けない、と思った。

 たとえあの夜の女の人のことを尋ねたとしても、社長が私たちに心配させるようなことを、言うはずがない。

< 172 / 302 >

この作品をシェア

pagetop