一途な社長の溺愛シンデレラ

 事情はわからないけれど、話したくない相手に毎日待ち伏せをされたり、嫌がらせのように電話をかけてこられれば、誰だってげんなりする。

 社長はそれを誰にも見せず、酒の席ですら愚痴らないのだ。

 グラスに口を付けながら絵里奈と西村さんの話を笑って聞いている、疲れの溜まった横顔をそっと見やる。

 胸の底で、なにかがふつふつと沸き上がってくる。

 社長の疲れた笑顔を見ていると、いてもたってもいられないような気持ちになって、己を制御できなくなりそうだ。

 そんなふうに思っている自分自身に、私は驚いていた。




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