一途な社長の溺愛シンデレラ

「開錠の仕方くらい知ってるに決まってるだろ。俺は創業者のひとりみたいなもんなんだから」

 中性的な顔に笑みを浮かべて、さらりとそんなことを言う。

「それは……いろいろと問題があるのでは」

 あとで社長に注意しておいたほうがいいかもしれない、と考えてから、はたと気づく。

「創業当時からここにいるなら、意味を知っている?」

 傍らまで歩いていくと、椅子にゆったり腰掛けた台風男が「あん?」と顔を上げた。

「社名のデザート・ローズって、なに?」

 私の言葉は予想外だったようで、竜崎は一瞬まじまじと私を見たあと「へえ」とおもしろそうに口角を上げた。

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