一途な社長の溺愛シンデレラ
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社長行きつけの洋食店で早い夕飯を食べた(無理やり食べさせられたともいう)あとで連れてこられたのは、五階建てマンションの一室だった。
築二十年で単身者用、日当たりのいい三階の小さなワンルーム……つまり、私の家だ。
「あんまり散らかってないな」
エプロンを引っ掛けフローリングモップを手にしたいつもの出で立ちで、社長が感心したように振り返る。
「ようやく片付ける習慣が身についたか」
「本とか、使ったものはなるべく元に戻すようにした……ていうか、あの」
「ん?」
きょとんとした目で見つめられ、私は口をつぐむ。
食事をする前のやりとりをまるごと忘れてしまったような顔で見下ろされたら、こちらからは何も訊けない。
「……なんでもない」
さっき言っていた、新しい世界とは、いかに。
ため息をつきながら、とりあえずスーツのジャケットを脱いで玄関横のフックにかけた。