一途な社長の溺愛シンデレラ

☆.。.:*・

 フロアの中央に鎮座する共有テーブルに着いて、どこかの街の風景を切り取った写真を1枚ずつ眺めていると、絵里奈が自分を抱きしめるようにして言った。

「だから、胸がきゅんとして、自分で自分を制御できなくなる感じっていうか」

「いやいや、もっとこう、相手を支配したくなる感覚だろ」

「ええっ、御池さんてばドS!見た目通りだわ~」

「何言ってんだよ眞木。普通だろ。好きになったら相手の全部を手に入れたくなるだろうが」

「いやあ!なにそのセリフ!ときめく!」

「べつにおまえをときめかせるために言ったわけじゃねえ」

 そこまで言ってから、椅子に足を広げて座っていた強面の男は私を睨んだ。

「つうか、こらガキ、聞いてんのか。俺も眞木もおまえに説明してるんじゃねえか!」

 とてもガラの悪いこの男は、デザート・ローズ制作会社で営業を担当してる、御池康弘(みいけやすひろ)だ。

 顔つきもいかつくて一般人だったらすれ違っても目を合わさないようにするタイプのこの人が、いつもどんなふうに仕事を取ってくるのか、私は不思議でたまらない。


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