一途な社長の溺愛シンデレラ
私がフォローしているのは美術館・美術展情報、世界の名画、絵画情報、画家情報、画家本人、アートニュースなど、ほとんどがアートに関係するアカウントだ。
ひとりの例外を除いて。
もともとは趣味でつくった作品をアップするために登録したSNSだった。
作品を上げるほかは、今みたいにときどき思い立ったことを投稿するくらいしか発信しない。
だから誰かに話しかけられても、内容問わず、基本的に返事はしない。……ひとりの例外を除いて。
ピン、とポップアップ画面に通知が入る。
『例外』から早速の反応。
《@sarah(サラ)はもっと肉をつけたほうがいいってことじゃない?――from@haruka》
タイムラインに表示された@haruka(ハルカ)の言葉に私は即座にキーを打つ。
《どうすれば肉がつくの?――from@sarah》
《普通に食事をとってれば、普通は付く。――from@haruka》
「普通に食事、ね」
私はパソコンデスクに置いたビールの缶を見る。それをつかんで半分くらいまで飲むと、リンクトの画面を消してミュージックライブラリの再生ボタンをクリックした。