今宵、エリート将校とかりそめの契りを
翌日の朝食の席に、総士の姿はなかった。
大きく広い長方形のテーブルの一番端に、琴の食事が用意されている。
特別な夜の食事は洋食が振舞われる名取家でも、朝は琴にも馴染み深い和食がほとんどだ。
今朝の献立は、白米に味噌汁。
副食は昆布の佃煮にのり、半熟卵だった。
夕食に比べると質素だが、これまでの食生活を考えれば、琴にとっては贅沢すぎるほどだ。
しかし、今日、食事が用意されているのは琴の席だけだ。
向かい側の総士の席は綺麗に片付いて、彼が来る気配もない。
琴はソワソワしながら、忙しく給士に勤しむ女中を呼び止めた。
「総士様でしたら、朝食はいらないと言って、軍部に向かわれましたよ」
琴の湯呑みにお茶を注ぎながら、女中は特に表情を変えずに答える。
「そう……」
彼が食堂に来ないことは予想していたが、琴はガックリと肩を落とし、溜め息をついた。
たった一人で朝食の席に着くのは久しぶりだ。
琴は寂しい気分で、そっと手元に視線を落とした。
「最近は、毎朝琴様とご一緒でしたのに。珍しいですね」
女中の何気ない声かけにも、胸がズキンと痛む。
琴はぎこちない笑みを浮かべるだけで誤魔化し、なぜか味気なく感じる朝食を、モソモソと口に運んだ。
大きく広い長方形のテーブルの一番端に、琴の食事が用意されている。
特別な夜の食事は洋食が振舞われる名取家でも、朝は琴にも馴染み深い和食がほとんどだ。
今朝の献立は、白米に味噌汁。
副食は昆布の佃煮にのり、半熟卵だった。
夕食に比べると質素だが、これまでの食生活を考えれば、琴にとっては贅沢すぎるほどだ。
しかし、今日、食事が用意されているのは琴の席だけだ。
向かい側の総士の席は綺麗に片付いて、彼が来る気配もない。
琴はソワソワしながら、忙しく給士に勤しむ女中を呼び止めた。
「総士様でしたら、朝食はいらないと言って、軍部に向かわれましたよ」
琴の湯呑みにお茶を注ぎながら、女中は特に表情を変えずに答える。
「そう……」
彼が食堂に来ないことは予想していたが、琴はガックリと肩を落とし、溜め息をついた。
たった一人で朝食の席に着くのは久しぶりだ。
琴は寂しい気分で、そっと手元に視線を落とした。
「最近は、毎朝琴様とご一緒でしたのに。珍しいですね」
女中の何気ない声かけにも、胸がズキンと痛む。
琴はぎこちない笑みを浮かべるだけで誤魔化し、なぜか味気なく感じる朝食を、モソモソと口に運んだ。