今宵、エリート将校とかりそめの契りを
「できないと認めて、さっさと諦めた方がよろしい」
「……どうしてそう言い切るの?」
尊大に見下ろしながらズケズケと言い放つ忠臣に、琴は怯みながらも聞き返した。
それには、彼がフッと笑みを浮かべる。
「せっかくの好機にとどめを刺せない。その上、今の奥方様のボヤきと言ったら……。憎んでも憎み切れない仇相手に、なにを必死になって誤解を解く必要があるのです? 夫とは言え、どうせ仮初め。どう思われようと、問題ないのでは?」
「……!!」
心を抉るような鋭い指摘に、琴は言葉に詰まった。
ドキンと跳ね上がった鼓動を抑えようと、無意識に両手を胸に当てる。
「……奥方様」
琴の反応を一から十までじっくりと確認して、忠臣は胸の前で腕組みをした。
「昨日会っていた男というのが、奥方様に妙な情報を吹き込んだ人物……そうですね?」
真正面から核心を突いてくる忠臣の前で、琴はビクッと肩を震わせた。
目を伏せ、地面に視線を彷徨わせる琴に、忠臣はふうっと息をついて畳みかける。
「あなたが総士様とその男、どちらを信じるかは自由ですが。聞く耳があるのなら、申し上げておきましょう。総士様が早乙女軍曹……あなたの兄を見殺しにしたなど、総士様を貶めようとする、愚かな讒言でしかない」
「…………」
「総士様は、その男の狙いがご自身か奥方様か……どちらかを掴めずにいます」
「……どうしてそう言い切るの?」
尊大に見下ろしながらズケズケと言い放つ忠臣に、琴は怯みながらも聞き返した。
それには、彼がフッと笑みを浮かべる。
「せっかくの好機にとどめを刺せない。その上、今の奥方様のボヤきと言ったら……。憎んでも憎み切れない仇相手に、なにを必死になって誤解を解く必要があるのです? 夫とは言え、どうせ仮初め。どう思われようと、問題ないのでは?」
「……!!」
心を抉るような鋭い指摘に、琴は言葉に詰まった。
ドキンと跳ね上がった鼓動を抑えようと、無意識に両手を胸に当てる。
「……奥方様」
琴の反応を一から十までじっくりと確認して、忠臣は胸の前で腕組みをした。
「昨日会っていた男というのが、奥方様に妙な情報を吹き込んだ人物……そうですね?」
真正面から核心を突いてくる忠臣の前で、琴はビクッと肩を震わせた。
目を伏せ、地面に視線を彷徨わせる琴に、忠臣はふうっと息をついて畳みかける。
「あなたが総士様とその男、どちらを信じるかは自由ですが。聞く耳があるのなら、申し上げておきましょう。総士様が早乙女軍曹……あなたの兄を見殺しにしたなど、総士様を貶めようとする、愚かな讒言でしかない」
「…………」
「総士様は、その男の狙いがご自身か奥方様か……どちらかを掴めずにいます」