今宵、エリート将校とかりそめの契りを
「大変! 誰か、かかりつけの本庄先生に使いを!」
いち早く我に返った女中頭が、キビキビと男の使用人に命じた。
その声を聞きながら総士に駆け寄った忠臣が、彼の軍服の前を引きちぎるようにして開く。
忠臣が総士の服の肩を抜くと、彼の引き締まった上半身が露わになった。
その肩口にはっきり見える大きな切り傷に、叫びそうになるのを、琴は必死に堪えて飲み込む。
両手で口を押える琴の前で、忠臣はてきぱきと止血を始めた。
傷口に当てた白いハンカチーフは、みるみるうちに真っ赤に染まる。
「総士様。これはどこで?」
破いた軍服の袖を肩にきつく結びながら、忠臣が険しい口調で訊ねた。
総士は眉間の皺を深めながら、「門の外」と答える。
「門に手をかけた時、一瞬油断した」
それを聞いて、忠臣は忌々しそうにチッと舌打ちをした。
彼の視線が一瞬確かに自分に向けられるのを感じて、琴はビクッと肩を震わせる。
「とにかく、お部屋へ」
忠臣はすぐに琴から目を逸らし、他の使用人の手を借りて総士を立ち上がらせる。
男二人がかりで総士の左肩と右脇を支え、階段に歩いていく。
「あ……」
騒然としたまま、屋敷内の空気が緊迫して動き出す。
それを肌で感じながら、琴は両手を胸にギュッと押し当てた。
しかしすぐに顎をグッと上げて、階段を上っていく総士の背中を追いかけた。
いち早く我に返った女中頭が、キビキビと男の使用人に命じた。
その声を聞きながら総士に駆け寄った忠臣が、彼の軍服の前を引きちぎるようにして開く。
忠臣が総士の服の肩を抜くと、彼の引き締まった上半身が露わになった。
その肩口にはっきり見える大きな切り傷に、叫びそうになるのを、琴は必死に堪えて飲み込む。
両手で口を押える琴の前で、忠臣はてきぱきと止血を始めた。
傷口に当てた白いハンカチーフは、みるみるうちに真っ赤に染まる。
「総士様。これはどこで?」
破いた軍服の袖を肩にきつく結びながら、忠臣が険しい口調で訊ねた。
総士は眉間の皺を深めながら、「門の外」と答える。
「門に手をかけた時、一瞬油断した」
それを聞いて、忠臣は忌々しそうにチッと舌打ちをした。
彼の視線が一瞬確かに自分に向けられるのを感じて、琴はビクッと肩を震わせる。
「とにかく、お部屋へ」
忠臣はすぐに琴から目を逸らし、他の使用人の手を借りて総士を立ち上がらせる。
男二人がかりで総士の左肩と右脇を支え、階段に歩いていく。
「あ……」
騒然としたまま、屋敷内の空気が緊迫して動き出す。
それを肌で感じながら、琴は両手を胸にギュッと押し当てた。
しかしすぐに顎をグッと上げて、階段を上っていく総士の背中を追いかけた。